電波 電子楽器オンド・マルトノ

電波電子楽器オンド・マルトノという楽器は第一次世界大戦に通信兵として招集されたフランスの電気技師モリス・マルトノによって、1928年の今から80年も前に発明された楽器です。

戦時中に三極真空管から発信される音に注目したマルトノは、この音を音楽に利用できないだろうかと考え10年以上にわたる研究の末にオンド・マルトノを完成させています。

2つの周波数の差を読み取って音程や音量を定める楽器であり、チェリストであったマルトノの発明らしく、ヴァイオリンやチェロのような弦楽器における弓と弦をモデルとして、基本的には単音のみ発音されるものです。

電波電子楽器オンド・マルトノは、ボディに張られた1本の弦の操作によって演奏します。弦を通した指サックに指を入れてキーボードで音階の位置を確かめながら左右に移動させます。

この指の動きによって、ビブラートやポルタメントなどもかけられます。ボディから発する高周波の電気振動が別の振動機に伝わって、周波数の異なる2つの音が銅鑼を震わせ、それらの音が共鳴してスピーカーで拡張されて神秘的な音楽の世界を生み出してゆきます。

世界初の電子楽器テルミン

電波電子楽器オンド・マルトノはオルガンの形をしたボディ、銅鑼がはめ込まれた2つのスピーカーと裏表に計24本の弦を張った振動機から成り立っています。

形状はオルガンのようですが、音響の発信源を見ると弦楽器であるとわかるもので、異なる周波数がつくるアコースティックな音色はシンセサイザーやバイオリンやフルートのようでもあり幻想的かつ神秘的です。

電波電子楽器は、フランスを中心に多くの作曲家がオンドマルトノを自分の作品に採用、クラッシック音楽や現代音楽の重要レパートリーとなった曲も多いと言われています。

オーケストラ以外にシャンソン、ジャズ、ロックなどの分野でも電波電子楽器は用いられ、日本ではNHK大河ドラマ「独眼竜正宗」「八代将軍吉宗」のテーマ音楽でオンド・マルトノが使われていました。

最近ではアニメ「パルムの樹」「びんちょうタン」のサウンドトラックでもオンド・マルトノが使用され原田節さんが演奏しています。オンド・マルトノの奏者のことをオンディストと呼びますが、日本では、原田節さんのほかに本荘玲子、大井浩明さんなどが知られています。

コントロールの仕方も発音の仕方もまったく異なる個性的な電波電子楽器オンド・マルトノ、魅力的な音色で益々ファンは増えると言えましょう。

ちなみに、世界初の電子楽器は1920年に物理学者でチェロの演奏者でもあったレフ・セルゲイヴィッチ・テルミン博士が発明した「テルミン」です。