人毛検査のポイント

人毛検査の最大のポイントは一番最初に行う外観検査になります。外観検査では肉眼や光学顕微鏡を使用して、色調、形状、長さ、光沢、硬さをみて間違いなく人の毛であるのかを選別します。

繊維である可能性がある場合には繊維統計資料を使用して選別し、人の毛であるか動物の毛であるのか(人獣識別)には獣毛統計資料との比較を行います。

外観検査にて人の毛と判断されると、形態学的検査に進みます。形態学的検査では、光学顕微鏡及び電子顕微鏡で外観形態と毛の基本構造を探ります。

こうして、間違いなく人の毛であるのか検査精度を上げて確認されると、毛の発生部位の特定に移ります。何処の毛であるのか、髪の毛か腕の毛か陰毛かという人毛の部位が特定されると、形態変化の特徴を精査して、美容処理による変化、外傷による変化、病的な変化などといった個人の環境や状況などを探っていきます。

この人毛検査にて、個人が生来もっている特徴、いわゆる毛の太さや色調、髄質や毛根の形状などが明らかになります。さらに、日常生活を反映するような特徴、例えば美容処理の有無や整髪剤の有無、病的な形状などの情報が得られます。

蒸着処理した毛髪を走査線顕微鏡で撮影して画像を解析すると、整髪材などが付着している場合にはよくわかります。この付着物をIRやGC‐MSなどで分析し、例えば整髪剤の場合にはこれで化粧品を特定できます。

人毛検査での分析方法

元素分析による人毛検査での分析方法は、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーを用います。人の毛の元素成分には個体差があり、毛の成分のカリウム、カルシウム、硫黄などをスペクトラムグラフ化し元素成分の違いを検査します。

DNA型分析による検査が可能になるのは、毛根部分から新鮮な細胞核が取得できている場合に限られますが、STR法によるDNA検査が行えれば個人の識別ができます。

エキストラ検査では、収集した人毛から女性か男性かを識別したり、たんぱく質を解析して個人識別できます。人毛検査において毛髪の遺留物に関しての研究ではドイツと日本が群を抜いています。

毛髪鑑定は、指紋鑑定のように個人を決定的に特定できる切り札にはならないと考えられてきましたが、毛髪の化学分析の結果は、個人生来の特徴や生活環境などの状況を表し、ABO検査やDNA型鑑定が付随される事により重要証拠となりえます。

今後、人毛検査は次世代科学捜査の切り札になる可能性が十分にあると言えるでしょう。