今回は、吸入ステロイド薬とうがいについてお話しします。
吸入ステロイド薬の使用後には「うがい」を忘れずに!
2015年10月30日
https://plus.chunichi.co.jp/blog/gifu-pharm/article/286/4362/
気管支喘息では、気道に慢性的な炎症を起こしており、このため、気道内の分泌物により痰が詰まるなど、気道が狭くなっています。吸入ステロイド薬により、直接、気管支や肺に直接作用することにより、この慢性的な炎症を抑える効果があります。
吸入ステロイド薬の副作用は?
ステロイド薬については全身の副作用が心配されますが、この吸入ステロイド薬は全身にほとんど作用しないので長期に使用することができます。
吸入した薬の約80%は、口の中に残っています。これが原因で、口腔カンジダ、喉の痛み、嗄(さ)声(せい)(声かれ)が現れることがあります。また、口の中に残っている薬を飲み込むことにより、食道カンジダが現れることもあります。
なお、カンジダはカビの一種で、白い斑点ができます。ステロイド薬の長期連用により、粘膜の免疫力が低下してカビが繁殖しやすい環境になるからです。
副作用の声枯れは「うがい」で予防しよう
これらの副作用が現れないようにするためには、口の中に残った薬を取り除く必要があります。そのためには、次のようにするとよいでしょう!
①吸入直前に、口の中を湿らせておく。口の中に薬が付着しにくくなります。
②吸入後に、適量の水で、ガラガラ5秒、クチュクチュ5秒、合計10秒のうがいをします。
③②を2回すると、ほとんどの薬を除くことができます。
吸入ステロイド薬を使用した後にうがいをしているかどうかの調査では、うがいをしていると回答したのは20%と少ない結果でした。さらに、外出時にうがいをしていないと回答したのは40%でした(下図参照)。
「うがい」ができない時はどうすれば良い?
では、外出した時などうがいができない場合には、どうしたらよいのでしょうか。
①吸入後に、唾液を飲み込まないで、口の中を洗うようにして、3回くらい、唾液をティッシュに吐き出します。また、飲み物などで口をゆすいで、飲み込んでもよいです。口の中に残った薬を飲み込んでも、胃腸からはほとんど吸収されませんので、全身への作用は心配ありません。
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